日日是好日

ただ、花のようでありたい

濡れた地面に写るネオン

 

 

 

雨が降った日の夜、

都会の地面には店の光や看板の電飾が

雨に滲んでそこら中に光が飛び散る。

 

 

反射した光は目の奥に入り込んで

あたしの目は万華鏡になる。

 

 

それをなにも思わず

ただ雨が嫌だなと思って過ごすか、

雨の夜を好きになるかで自分の感受性が

死んでいないか確認する。

 

 

生きていることにホッとする。

 

 

 

暗い中で見る雨は綺麗だ。

 

明るい時に見る雨は濁って見えて、

だから昼間の雨は嫌いだ。

 

 

同じものを見ていても、

見ている時の状況が違えば

感情だって価値観だって変わる。

 

 

その違いを楽しめるような大人になりたい。

 

 

 

 

 

 

都会は雨に濡れると宝石が地面に散らばる。

 

 

あたしはそれを拾い集めることはしない。

 

 

散らばる宝石の中をこれからも歩く。

 

 

 

大切なものはそんな風に見守るものだと

あたしは夜を歩きながら思う。

 

 

 

 

大切な人を自ら手放して生きていく事も

もう慣れてきた。

 

 

酷いやつと思われても仕方ないし

自分を正当化するつもりも無いが、

これだけは思わせて欲しい。

 

 

 

君と歩いた日々の記憶は

これからもずっとあたしの胸の中、

宝箱の中にずっと消えないであるよ。

 

 

雪の降った日も、晴れた日も

雨で濡れた日も、全部鮮明に。

 

 

 

ありきたりな台詞だけどさ、

それだけは言いたくて。

 

 

 

傘を持たない君にプレゼントした折りたたみ傘。

 

君の好きな色を選んだよ。

 

雨の日でも気分が上がる様に。

 

 

 

あたしの傘を褒めてくれてありがとう。

 

 

それがずっと心に残る優しい記憶。

 

 

 

 

 

雨が降り続く時期が来る。

 

 

 

夜に散らばる宝石。

 

 

 

拾い集めたりしない。

 

 

 

 

思い出をそんな風に掬い上げない。

 

 

 

これからも雨の夜を歩く日々は必ずあって

 

 

君もあたしも傘をさして、

 

 

 

地面に映る光を、宝石を

綺麗だなと思いながら歩いていたら良いな。

 

 

 

歩く道は、違っても。