日日是好日

ただ、花のようでありたい

月と泡

 

 

海に身を投げる。

 

暗く、深い海。生暖かくて、心地よい。

 

沈む身体。

 

深く、深く。

 

 

沈みゆく中で、思う。

 

 

あぁ、あの時こう言ったら良かった。

 

こういう風に伝えたら良かった。

 

あの問いに、こう答えたら良かった。

 

 

 

思いは泡になって、水面に浮かんでいく。

 

月の光を浴びて、キラキラと。

 

幻想的で、儚くて、切ない光の粒達。

 

パチンと割れて、消えるあたしの思い達。

 

 

どうか届いてって、いまさら遅いね。

 

 

 

 

ねぇ、あの時あたしが言ったこと、覚えてる?

 

 

 

 

 

あたしがこれまで発してきた自分の思い

どれだけの人に伝わっているだろう。

 

 

 

大好きな人たちに向けて言った、

大好きだよって気持ち、ちゃんと届いていたのかな。

 

 

言葉はお守りみたいなものだから、

あたしが居なくなっても言葉達が

彼らを守ってくれていたらいいな。

 

 

 

数えきれないほどたくさんの事を考えて

選択して進んで生きてきた。

 

 

あたしは自分の思う道をちゃんと

進んでこれたのだろうか。

 

今この瞬間、

海の中に沈んでいる中でさえ

人生の正しさについてなんて考えている。

 

 

馬鹿馬鹿しいよね。

 

 

 

深く、深く沈んでいけ。

 

誰にも気付かれないように。

 

 

泡になって消えてゆけ。

 

あたしの沢山の思い達。

 

 

 

愛してるって言ってくれた

あの時のあなたの言葉が今のあたしのお守り。

 

 

ずっと大切にするね。

 

 

ありがとう、大好きだよ。

 

 

泡は途切れて、もう水面に浮かばなくなった。

 

 

月明かりも届かない、深い闇。

 

 

 

 

暗い海みたいな底無しの思い。

 

 

 

あなたが好きって思い。

 

 

 

 

海の底、誰もみたことない、深海へ。

 

 

 

 

 

 

ねぇ、きっとずっと、愛しているよ。